凡人には辛い病院の修行

凡人には辛い病院の修行

こじれてしまった原因を取り除くべく、西洋からもたらされた対処療法をしており骨に管が入っているため、ベッドからの移動がままならない状況。1日1回の移動は車椅子でトイレに駆け込む時である。
点滴の管もあるので、うまくさばきながら車椅子に乗り込むのだがなれない看護師とのコンビだと、痛みや辱めなどのリスクを抱えることになる。

病室とベッド上は「修行」の場となっており、3度めの修行の私はまだまだ「雲水」なのである。入院しても俗世間と縁を切れないため「仕事」をしながらの修行である。これでは開眼するのは無理であろうと思われる。
隣の修行僧は、齢70代後半で横になったままでリハビリで車椅子の移動もあるのだが調子がいいときだけ。ほぼ横になっている。
1日何回か看護師がおむつチェックと溜まった尿を捨てていく。
これで、意識朦朧、認知症であれば修行にならないが老僧は意識明快にして闊達。頭が下がる先輩僧である。
楽しみは、院内を回っている移動販売らしく、クッキーをよく購入して「バリバリ」勢いよく食している。

一方のヘッポコ「雲水」の私は、この症状が改善しなかったらという重圧と口に合わない3度の食事、シャワーに入れない不快感、ベッドの上でする小便、そこにある欲しい物が取れない苛立ちで、ひとり、あらゆることにもがき続けている。

膝からINして足首からOUT

尿器の修行

かなり便利なものですが、扱い方と使用には熟練が必要です。
素材は、乳白色のポリエステルで容量は900ml。長さ30cm、幅9cmぐらい上部に取っ手がついています。
それがベッド脇の柵にケースに入ってスタンバっています。

空の場合はさほど気を使う必要はありません。
股間へセッティングして、自身のホースを中へ入れてするだけですが、徐々に水音がしてきますのでそれをいかに抑えることができるかが毎回の課題になります。いつ看護師がはいってくるかわかりませんから、布団でかくして本でも読んでいれば完璧です。
同じ尿器で2回、3回目になるとある程度溜まっていますから少しコツが必要になってきます。
重くなっているのでケースからベッド上へ移動する際に、何かに引っかけたりする恐れがあります。特に夜中の作業は目がさめていないので要注意。ベッドの上にぶちまけたらと考えただけで手が震えます。
もうひとつは、無事に障害物を乗り越えて股間下に置く場所を十分確認して下さい。下に病衣があったり、シーツがよれてそこだけ高くなっている場合があります。
量が多いほど、少しの傾きでこちら側にTUNAMIが襲ってくるので置くときには最新の注意が必要です。

キレがある若い方は心配には及びませんが、50代後半ぐらいから切れが悪くなる諸兄は、さらなる注意が必要であります。
終わったと思ってホースを収納しようというとき、え!と思うほどの量が出てくる場合が結構な確率でありますので、腰の位置を変えたりいきんだりして安全を確かめることです。ここはベッドの上であることを再度肝に銘じましょう。


病院であるにも関わらず、爽やかな清流の音が聞こえることがありますがそれは隣の老僧の放尿です。ここは自身を見つめ直す修行の場、苦行の場です。
短い人生を誰かに助けられながら、必死にうごめいている蟻です。その中の蟻一匹が何を思うかなど誰も気にしませんが、小さな蟻の心はどこまでも自由です。

時代遅れに見える機械

禅語をひとつWEBから見つけました

行 雲 流 水